脳の働きと仕組みについて
脳は人間の感情・思考・生命維持その他の中心
人間の脳の重さは、一般的に1200~1500グラムで、だいたい体重の2%程度にあたります。そんな脳ですが、脳と一言で言っても大脳、間脳、中脳、小脳、延髄、脊髄などの器官に分かれています。そして、その働きは大きく3つに分かれていて、それらを瞬時に判断・決定しながら、私たちの体全体をコントロールしているのです。
生命を維持する、たとえば呼吸などは、中脳、延髄、間脳などが集まった「脳幹」という部分でコントロールしています。また、歩く、走る、といった運動に関しては「小脳」という部分でコントロールしています。そして、ものを考えたり、決定したりするのは「大脳」です。
つまり、脳の働きは人間が人間という姿を維持する、生命を維持する、というだけにとどまらず。感情や思考など、精神的な部分でもその中心的存在を担っていると考えられているのです。
脳が大きい方があたまが良い?
脳の中で最も大きく、最も多くの働きをしているのが大脳です。そのため、大脳の大きさが大きいほうがあたまがいい、という説があります。これは、人間に近い類人猿の大脳よりも人間の大脳のほうが大きいことが、すなわち人間と類人猿の知能や精神性などの違いにつながっているのではないか、という仮設に基づいています。
しかし、一概にそうはいえないようです。日本の文豪・夏目漱石や、相対性理論など数々の発見を残した天才物理学者・アルベルト・アインシュタインの脳は、死後も保存されているのですが、重さでいうと漱石が1425グラムでアインシュタインは1230グラムと軽いことが分かっています。つまり、脳の大きさ、重さは、必ずしも「あたまの良さ」とは関係がないといえるでしょう。
老化にともなって脳は萎縮していく
脳は年齢とともに少しずつシワが大きく、深くなっていきます。これはどういうことかというと、脳そのものが少しずつ萎縮しているのです。だいたい30代頃から徐々に萎縮が始まると言われていて、60代の脳をCT画像で見てみると、大きく深いシワが全体に広がっており、明らかに隙間がある、つまり脳が萎縮していることが分かります。
脳が萎縮する主な原因の一つが脳の中の神経細胞が減少する、ということがあります。一説によると、脳では毎日およそ10万個もの神経細胞の脱落が起きているのだとか。もちろん、脳には毎日10万個減少しても余りある約140億個の細胞がありますから、心配は要りません。とはいえ、この細胞減少によって脳全体のボリュームが小さくなっていくと考えられているのです。